「スパイラルタップとポイントタップの違いって何?」
「スパイラルタップの正しい使い方を知りたい!」
「どのスパイラルタップを選べばいいのか分からない…」
そう思う方もいるかもしれません。
実は、スパイラルタップとポイントタップには明確な違いがあり、それぞれに適した用途があります。適切な工具を選び、正しく使用することで、加工精度を向上させ、工具の寿命を延ばすことが可能です。
この記事では、スパイラルタップの基本的な使い方、ポイントタップとの違い、そして最適なスパイラルタップを選ぶための5つのポイントを詳しく解説します。
スパイラルタップとは
スパイラルタップとは、主に加工材にねじ穴を形成するために使用される切削工具の一種です。一般的なタップと比較して、切りくずの排出性に優れており、特に深い穴や止まり穴(底がある穴)を加工する際に効果的です。
この工具の最大の特徴は、ねじを切る際に発生する切りくずを後方へ排出することです。通常のハンドタップでは、切りくずがねじ穴の内部に溜まりやすく、これが原因でタップが折れてしまうことがあります。しかし、スパイラルタップでは螺旋状の溝(スパイラルフルート)によって切りくずを効率的に外へ排出するため、より安定した加工が可能になります。
また、スパイラルタップは加工する材料の種類や硬さに応じてさまざまな形状やコーティングが施されており、鉄鋼やアルミニウム、ステンレスなど幅広い素材に対応しています。適切な工具を選ぶことで、作業効率を向上させ、タップの寿命を延ばすことができます。
スパイラルタップとポイントタップの違い
タップ加工にはさまざまな種類の工具が存在しますが、その中でも「スパイラルタップ」と「ポイントタップ」は多くの現場で使用されています。どちらもねじ穴を作るための切削工具ですが、形状や用途に違いがあります。適切に使い分けることで、より精度の高いねじ加工が可能になります。
スパイラルタップの特徴
スパイラルタップは、ねじ切りの際に発生する切りくずを後方へ排出する特徴を持っています。そのため、主に止まり穴(底がある穴)の加工に適しています。スパイラル状の溝(フルート)が切りくずを効率的に排出することで、加工時のトラブルを防ぎ、安定したねじ加工が可能になります。
また、スパイラルタップは柔らかい材料(アルミニウムや銅など)や粘りのある材料(ステンレスなど)に適しており、摩耗を抑えながら加工できる点もメリットのひとつです。
ポイントタップの特徴
ポイントタップ(ガンタップとも呼ばれる)は、直線的な溝が入った設計になっており、切りくずを前方へ押し出す形で排出します。この特性により、貫通穴(貫通している穴)の加工に適しています。
スパイラルタップとは異なり、ポイントタップは切りくずが加工穴の外へ出るため、ねじ山に干渉しにくく、スムーズな加工が可能です。特に大量生産の現場や自動加工機(NC加工機など)を使用する際には、切りくず処理がしやすいポイントタップがよく使用されます。
スパイラルタップとポイントタップの使い分け
スパイラルタップとポイントタップのどちらを使用するかは、主に加工する穴の種類(止まり穴か貫通穴か)によって決まります。
- 止まり穴の場合 → スパイラルタップが適している
- 貫通穴の場合 → ポイントタップが適している
さらに、加工する素材の特性や生産性の要求によっても選択が変わるため、作業環境に応じた適切なタップ選びが重要になります。
スパイラルタップの正しい使い方
スパイラルタップを正しく使用することで、ねじ加工の精度を向上させるだけでなく、工具の寿命を延ばし、作業効率も改善されます。ここでは、スパイラルタップを使ったねじ切りの基本的な手順と、精度を保つためのポイントについて解説します。
1. 下穴の準備
スパイラルタップを使用する前に、まず適切なサイズの下穴を開ける必要があります。下穴のサイズは、加工するねじのサイズや材質に応じて異なります。例えば、M6のねじを切る場合、一般的な下穴径は5.0mmですが、加工する材料によって若干の調整が必要になります。
また、下穴を開ける際には、以下の点に注意すると良いでしょう。
- ドリルの摩耗をチェックする → 摩耗したドリルでは正確な下穴を開けられないため、新品または状態の良いものを使用する。
- ドリルの回転速度を適切に調整する → 材料に応じてドリルの回転数を調整し、過度な摩擦熱を防ぐ。
- センターポンチを活用する → ドリルが滑るのを防ぎ、正確な位置に穴を開けるため、あらかじめセンターポンチを打つ。
2. タップ加工の準備
下穴が適切に開いたら、次にスパイラルタップを装着します。手作業で行う場合は タップハンドル を、機械で行う場合は タッピングマシン や CNC加工機 を使用します。
タップを装着したら、切削油を塗布することが重要です。切削油には以下のようなメリットがあります。
- 切削抵抗を減らし、タップの摩耗を抑える
- 加工時の熱を逃がし、材料の変形を防ぐ
- 切りくずの排出をスムーズにし、ねじ山の精度を向上させる
特に、ステンレスやアルミニウムなどの粘りのある材料を加工する際は、切削油の有無で仕上がりに大きな差が出るため、必ず適量を塗布するようにしましょう。
3. スパイラルタップによるねじ切り
タップを下穴に挿入し、ゆっくりと回転させながらねじを切っていきます。手作業で行う場合は、以下のポイントに注意してください。
- 一定の回転速度を保つ → 急激な回転や力を加えると、タップが折れる原因になる。
- 1回転ごとに1/4回転戻す → 切りくずを効率的に排出し、ねじ山の損傷を防ぐため、1回転ごとに逆方向へ少し戻す。
- まっすぐ進める → 斜めに入るとねじ山が不均一になり、加工不良の原因になる。
機械加工の場合は、適切な回転速度と送り速度を設定することが重要です。スパイラルタップの回転数は、加工する材料に応じて調整する必要がありますが、一般的な目安としては 500~1500rpm ほどが推奨されます。
4. 仕上げとチェック
ねじ加工が完了したら、タップを慎重に抜き取り、仕上げ作業を行います。ねじ山に付着した切りくずをエアブローやブラシで取り除き、仕上がりを確認しましょう。
- ねじ山が均一かどうか → 目視またはゲージを使用して確認する
- バリの有無をチェック → バリが残っている場合は、面取り工具ややすりで処理する
- ねじがスムーズに入るか確認 → ボルトを実際に締めてみて、問題なく入るか確かめる
スパイラルタップが折れた場合の除去方法
スパイラルタップは非常に強度の高い工具ですが、使用条件や加工環境によっては折れてしまうことがあります。特に、硬い材料を加工している場合や、無理な力を加えた場合、またはタップが食い込みすぎた場合などに折損が発生しやすくなります。折れたスパイラルタップを無理に取り除こうとすると、さらなるダメージを引き起こす可能性があるため、慎重に適切な方法で除去することが重要です。
1. 折れたスパイラルタップの状態を確認する
まず、折れたスパイラルタップの状態を確認し、どの方法で取り除くかを判断します。確認すべきポイントは以下の通りです。
- 折れた位置 → タップの先端が穴の奥深くに残っているか、それとも浅い位置にあるか
- 折れた断面の状態 → タップの折れ口が鋭いか、または滑らかか
- 材料の硬さ → アルミや真鍮などの比較的柔らかい材料か、それともステンレスや硬質鋼か
これらを踏まえたうえで、適切な除去方法を選択します。
2. ピンセットやペンチを使用する方法(浅い位置で折れた場合)
スパイラルタップが比較的浅い位置で折れた場合、ピンセットやラジオペンチを使って簡単に取り除ける可能性があります。
- ピンセットやラジオペンチで折れたタップをつかむ。
- ゆっくりと逆回転させながら取り除く。
- 動かない場合は、潤滑剤(CRC-556など)を吹きかけて時間を置く。
この方法は比較的簡単ですが、タップが奥深くで折れた場合や強固に固着している場合には効果が薄いです。
3. タップリムーバーを使用する方法
タップリムーバーは、折れたタップを専用の工具でつかみ、逆回転させて取り除く方法です。
- タップリムーバーの爪を折れたスパイラルタップの溝にしっかりとはめる。
- ゆっくりと反時計回りに回転させながら引き抜く。
- 途中で無理な力を加えず、ゆっくり慎重に作業する。
この方法は比較的成功率が高く、スパイラルタップが奥深くで折れている場合にも有効です。ただし、極端に細いタップや固着が激しい場合は取り除くのが難しくなります。
4. 超硬バーやダイヤモンドバーを使用する方法
折れたスパイラルタップが完全に穴の奥で固着している場合、タップ自体を削り取る方法もあります。
- 超硬バーやダイヤモンドバーを装着したリューターを用意する。
- 折れたタップの中心部分を慎重に削り取る。
- ある程度削れたら、タップリムーバーや逆タップを使用して取り除く。
この方法は、タップが完全に埋まっている場合に有効ですが、周囲のねじ山を傷つけるリスクがあるため、細心の注意を払う必要があります。
5. EDM(放電加工)による除去
どうしても手作業で取り除けない場合は、放電加工(EDM)を用いる方法もあります。EDMは電気的な放電を利用して金属を削る技術で、折れたタップを精密に除去できます。
- 専門の加工業者に依頼する。
- 折れたタップ部分を放電加工で除去する。
- ねじ穴を修正し、再加工する。
EDMは確実な方法ですが、コストがかかるため、最終手段として考えるのが良いでしょう。
スパイラルタップとポイントタップの違い
ねじ穴加工にはさまざまな種類のタップが使用されますが、特にスパイラルタップとポイントタップは広く使われています。この2つは似ているように見えますが、構造や用途に大きな違いがあります。適切なタップを選択することで、加工の精度や効率が大きく向上します。
1. スパイラルタップとは?
スパイラルタップは、ねじ部の溝が**らせん状(スパイラル)**になっているのが特徴です。
特徴
- 切りくずを後方(上方向)に排出する構造になっているため、**止まり穴(ボトムタップ)**の加工に適している。
- 食いつきが良く、なめらかなねじ切りが可能で、特にステンレスやアルミなどの材料にも対応しやすい。
- 加工時の負荷が分散されやすいため、工具の摩耗が抑えられる。
使用に適した状況
- 止まり穴(底に行き止まりがある穴)の加工
- ねじの精度を高めたい場合
- 被削材(加工する材料)がアルミやステンレスなどの難削材
スパイラルタップは、止まり穴で切りくずが詰まるのを防ぐために設計されており、深い穴のねじ加工に適しています。
2. ポイントタップとは?
ポイントタップは、先端に切りくずを前方(下方向)に排出する溝があるタップです。「ガンタップ」とも呼ばれることがあります。
特徴
- 切りくずを前方(下方向)に排出する構造になっているため、**貫通穴(スルーホール)**の加工に適している。
- タップ加工時の抵抗が少なく、スムーズなねじ加工が可能。
- 切りくずが絡みにくいため、タップ折れのリスクが低い。
使用に適した状況
- 貫通穴の加工(穴の出口まで貫通している場合)
- 大量のねじ穴加工を行う場合
- 炭素鋼や鋳鉄など、比較的加工しやすい材料の加工
ポイントタップは切りくずを前方に排出するため、スパイラルタップとは異なり、止まり穴の加工には適していません。貫通穴の加工に最適な選択肢となります。
3. スパイラルタップとポイントタップの使い分け
スパイラルタップ | ポイントタップ | |
適した穴の種類 | 止まり穴(ボトムタップ) | 貫通穴(スルーホール) |
切りくずの排出方向 | 後方(上方向) | 前方(下方向) |
適した材料 | アルミ・ステンレスなど | 炭素鋼・鋳鉄など |
特徴 | なめらかな加工・精度が高い | 切りくずが絡みにくく、大量加工に向く |
4. どちらを選ぶべきか?
スパイラルタップとポイントタップのどちらを選ぶべきかは、加工するねじ穴の種類によって決まります。
- 止まり穴の加工ならスパイラルタップを選ぶべきです。
- 貫通穴の加工ならポイントタップが最適です。
また、被削材によっても選択が変わるため、加工の目的や材料を考慮して最適なタップを選ぶことが重要です。
スパイラルタップの選び方5選
スパイラルタップを選ぶ際には、加工する素材や用途に応じた適切な種類を選ぶことが重要です。適したタップを使用することで、ねじの精度が向上し、工具の寿命を延ばすことができます。ここでは、スパイラルタップを選ぶ際に考慮すべき5つのポイントを紹介します。
1. 被削材(加工する材料)に適したタップを選ぶ
スパイラルタップは、加工する素材によって適切な種類が異なります。主に以下のような基準で選びます。
- 軟鋼・炭素鋼・合金鋼 → 標準的なスパイラルタップ(高速度鋼 HSS)
- ステンレス・アルミ・銅合金 → 高硬度コーティングが施されたタップ(TiNやTiAlNコーティングなど)
- 難削材(チタン・インコネル・焼入れ鋼) → 超硬合金や特殊コーティングのスパイラルタップ
素材に適したタップを選ぶことで、切削抵抗を減らし、タップの破損を防ぐことができます。
2. タップのねじ山形状を確認する
ねじの種類には、メートルねじ(Mねじ)やユニファイねじ(UNC/UNF)、管用ねじ(PT/G) などがあります。用途に合ったねじ山形状のタップを選ぶことが重要です。
- 一般的な機械加工 → メートルねじ(Mねじ)
- 配管・油圧系統のねじ加工 → 管用ねじ(PT/G)
- 航空機や海外規格のねじ加工 → ユニファイねじ(UNC/UNF)
特に、ユニファイねじや管用ねじは規格が異なるため、目的に合ったものを選ぶことが大切です。
3. タップのコーティングと材質を考慮する
タップの材質やコーティングによって、耐久性や性能が大きく変わります。
代表的な材質
- 高速度鋼(HSS):標準的なタップで汎用性が高い
- コバルト高速度鋼(HSS-Co):耐熱性・耐摩耗性に優れ、硬い材料にも対応
- 超硬合金(Carbide):高硬度な材料向けで、高速加工に適している
代表的なコーティング
- TiN(チタン窒化物):耐摩耗性が高く、寿命が長い
- TiAlN(チタンアルミ窒化物):高温環境でも耐久性が高い
- DLC(ダイヤモンドライクカーボン):低摩擦でアルミや銅の加工に適している
素材や用途に応じた適切な材質・コーティングを選ぶことで、タップの性能を最大限に引き出せます。
4. タップのねじれ角(スパイラル角)を確認する
スパイラルタップには、ねじれ角(スパイラル角) の違いによって、適した用途が異なります。
- 低スパイラル(10°~20°):硬い材料や精密加工向け
- 中スパイラル(25°~35°):一般的な用途向け
- 高スパイラル(40°以上):アルミや銅などの軟材向けで、切りくず排出がスムーズ
特に、軟らかい素材にはスパイラル角の大きいタップを、硬い素材にはスパイラル角の小さいタップを選ぶのがポイントです。
5. 加工環境に適したタップを選ぶ
タップの選択には、使用する工作機械や加工環境も重要な要素です。
- ハンドタップ → 手作業での加工に適したタップ(汎用性が高い)
- マシンタップ → CNC旋盤やフライス盤などの自動加工向け(高精度・長寿命)
- オイルホール付きタップ → 内部給油機構を持ち、潤滑性を高めたタップ(ステンレスや難削材に適している)
特に、大量生産を行う場合は、マシンタップやオイルホール付きタップを選ぶことで生産性が向上します。
まとめ
スパイラルタップを選ぶ際には、以下の5つのポイントを考慮することが重要です。
- 被削材に適したタップを選ぶ(硬い材料・軟らかい材料に応じた選択)
- ねじ山形状を確認する(メートルねじ、管用ねじ、ユニファイねじなど)
- タップの材質やコーティングを考慮する(耐摩耗性や寿命を延ばすため)
- ねじれ角(スパイラル角)を適切に選ぶ(切りくず排出性能を考慮)
- 加工環境に適したタップを使用する(手作業か機械加工かを見極める)
これらのポイントを押さえることで、より精度の高いねじ加工が可能になり、工具の寿命も延ばすことができます。
スパイラルタップの特徴
- 複数の段階での切削: スパイラルタップは、タップの先端部分に複数の切削エッジがあり、ねじを切る際に段階的に切削を行うため、作業中の負荷が分散されます。
- チップ排出が良好: 通常のタップと比較して、スパイラル形状がチップの排出を良好にし、スムーズな加工を可能にします。
スパイラルタップを使用する際のステップ
- 適切なタップ選定:
- ねじの規格や材料に合わせて、適切なスパイラルタップを選びます。
- 通常、材料の硬さに応じて、タップのコーティング(例えば、TiNコーティングやブラックオックス)が異なります。
- 事前準備:
- ねじ穴をドリルで下穴を開けます。スパイラルタップは、あらかじめ適切な下穴を開けておかないと、タップが折れやすくなるため注意が必要です。
- 下穴の径は、使用するスパイラルタップの推奨サイズに合わせてください。
- タッピングの開始:
- タップを機械に取り付け、タップの先端を下穴にセットします。
- 手動または機械で回転を加えながら、タップをゆっくりと進めます。急激に力を加えず、少しずつ進行させることが重要です。
- 切削油の使用:
- 切削時には切削油や潤滑剤を使用することで、摩擦を減らし、タップの寿命を延ばし、仕上がりを改善します。
- 深さの管理:
- 必要な深さに達したら、タッピングを停止し、タップを引き抜きます。
- 途中でタップが詰まらないように、一定間隔でタップを引き抜いてチップを取り除くことも効果的です。
- 仕上げ:
- タップが完成したら、ねじ穴の仕上がりを確認し、必要に応じて清掃を行います。
注意点
- 過度の力を加えない: スパイラルタップは繊細な部分も多いため、力を加えすぎるとタップが折れたり、加工が不正確になったりすることがあります。
- 頻繁な清掃: チップがタップに詰まると切削不良を起こすため、こまめに清掃して切削を行うと良いです。
これらのステップを守ることで、スパイラルタップを正しく使い、精度の高いねじ穴を作ることができます。
スパイラルタップ使用時の注意点
1. タップの選定と適切なサイズ
- スパイラルタップを使用する際は、対象となるねじの規格に合ったタップを選ぶことが最も重要です。タップのサイズやピッチ(ねじの間隔)が間違っていると、正確なねじ切りができません。
- タップのサイズ選定時には、下穴の径がタップの推奨サイズに合致しているか確認してください。過度に小さな下穴を開けてしまうと、タップが負担を受けやすくなります。
2. 適切な回転速度と進行速度
- スパイラルタップは、回転速度(RPM)や進行速度(送り速度)を適切に設定することが非常に大切です。一般的に、硬い材料を加工する場合は回転速度を低めに設定し、柔らかい材料であれば回転速度を高めに設定します。
- 進行速度は、あまり速すぎないように注意が必要です。速すぎるとタップの摩耗が早く進み、逆に遅すぎると作業効率が落ちてしまいます。
3. タップの潤滑と冷却
- スパイラルタップを使用する際には、適切な切削油や潤滑剤を使って、摩擦を最小限に抑えることが重要です。特に金属を加工する際は、適切な潤滑なしで作業を行うと、タップがすぐに摩耗してしまい、作業が長持ちしません。
- 冷却剤や切削油を使用すると、切削面の温度上昇を防ぎ、タップの寿命を延ばすとともに、切削後の仕上がりも改善します。
4. タップの破損や詰まりに注意
- タップが詰まると、過剰な負荷がかかってタップが破損する原因になります。頻繁にタップを引き抜き、切削中のチップを取り除くことが効果的です。
- また、タップが切削中に引っかかると、ねじ穴が歪んだり、ねじ切りが不正確になったりします。タップを無理に回転させないようにし、適切な圧力をかけることが大切です。
5. ねじ切り後の仕上げ処理
- ねじ切りが完了した後、切削面やねじ穴内に残ったバリ(余分な金属片)がある場合、それらを取り除くために仕上げ処理を行います。バリが残ったままでは、ねじを締めたときに不安定な状態になり、機能性が低下することがあります。
- バリ取りや清掃を行うための工具(バリ取りナイフなど)を使用すると、仕上がりがよりきれいになります。
6. タップのメンテナンス
- 使用後のタップの清掃は非常に重要です。タップに切削油や汚れが残っていると、次回の使用時に影響を与える可能性があります。
- 定期的にタップを点検し、刃先の摩耗や欠けを確認しましょう。摩耗が進んでいる場合は交換を検討してください。タップが劣化した状態で使い続けると、精度が落ち、作業効率も悪化します。
よくある問題と解決法
- タップが折れる
- 過度な圧力をかけることが原因でタップが折れることがあります。タップは慎重に進め、力をかけすぎないようにしましょう。
- また、タップの回転方向が間違っている場合や、適切な下穴が開けられていないと、タップが折れやすくなります。必ず事前に下穴を確認し、タップの使用条件に合った設定を行いましょう。
- ねじ穴が歪んでしまう
- ねじ穴が歪む原因としては、タップの切削不良や、適切な速度・進行速度でないことが挙げられます。適切な回転速度と進行速度を選び、ゆっくりと作業を進めることが大切です。
- もしねじ穴が歪んでしまった場合は、修正用のタップを使って再加工することもできます。
- ねじのピッチが合わない
- タップのピッチ(ねじ間隔)が間違っていると、ねじがしっかりと締まらない原因になります。必ず正しいピッチのタップを選んで使用するようにしましょう。
まとめ スパイラルタップは、精度の高いねじ切りを行うための非常に有用な工具ですが、その性能を最大限に引き出すためには、使用方法や注意点をしっかり守ることが大切です。適切なタップの選定、回転速度や進行速度の管理、そして潤滑の活用が、作業効率を高めるための鍵となります。また、作業中に問題が発生した場合も、原因を特定し適切に対処することで、より良い結果を得ることができます。
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