「フランジパッキンを交換したいけど、種類が多すぎてどれを選べばいいのかわからない…。」
「規格や厚みの違いで何が変わるの?耐久性やコストの違いが知りたい!」
そう思う方もいるかもしれません。
実は、フランジパッキンの選び方には**「用途」「材質」「厚み」の3つのポイント**があり、これを押さえることで最適なものを選ぶことができます。適切なパッキンを選ぶことで、漏れや劣化のリスクを減らし、設備の耐久性を向上させることが可能です。
この記事では、フランジパッキンの種類や厚みの違いを比較し、耐久性とコストのバランスを考慮したおすすめのパッキン5選を紹介します。
フランジパッキンとは?基本を解説
フランジパッキンの役割と重要性
フランジパッキンは、配管や機械設備の接合部に挟み込むことで気体や液体の漏れを防ぐシール材です。特に、圧力のかかる流体や高温環境下で使用される場合、適切なパッキンを選定することで、設備の安全性と耐久性を大幅に向上させることができます。
一般的にフランジパッキンは、柔軟性があり、接合部の微細な凹凸を埋めることで密閉性能を高めます。もし不適切なパッキンを選んだ場合、漏れによる事故や設備の損傷が発生する可能性があります。そのため、用途に応じた最適なパッキンを選択することが重要です。
どのような場面で使用されるのか?
フランジパッキンは、多くの産業分野で使用されます。代表的なものとして、以下のような用途が挙げられます。
- 化学工場や製油所:高温・高圧の配管システムで使用され、危険な化学物質や蒸気の漏れを防ぐ役割を担います。
- 水処理施設:水や薬品の供給ラインで使われ、耐薬品性の高いパッキンが求められます。
- 食品・製薬工場:衛生管理が厳しい環境下では、食品安全基準に適合したフランジパッキンが用いられます。
- 発電所やボイラー設備:高温高圧の蒸気ラインでは、耐熱性に優れた金属系パッキンが使用されることが多いです。
このように、フランジパッキンはさまざまな現場で活躍し、適切な材質や規格を選ぶことが設備の寿命を左右します。
フランジパッキンの種類と特徴
フランジパッキンにはさまざまな種類があり、それぞれの用途や環境に応じた特性を持っています。適切なパッキンを選ぶことで、設備の安全性や耐久性が向上し、長期的なコスト削減にもつながります。ここでは、代表的なフランジパッキンの種類とその特徴を解説します。
ゴム系パッキン
ゴム系パッキンは、弾力性に優れ、密閉性が高いのが特徴です。特に、水や空気の漏れを防ぐ用途に適しており、さまざまな産業で使用されています。代表的なゴム素材には以下のようなものがあります。
- NBR(ニトリルゴム):耐油性があり、油圧機器や燃料ラインなどで使用される。
- EPDM(エチレンプロピレンゴム):耐候性、耐薬品性に優れ、水処理設備や屋外環境での使用に適している。
- FKM(フッ素ゴム):高温・耐薬品性が求められる環境で使用される。
ゴム系パッキンは比較的安価で扱いやすいため、多くの設備に採用されていますが、高温高圧の環境では劣化が早まる可能性があるため、使用条件をしっかり確認する必要があります。
ノンアスベスト系パッキン
かつてアスベスト(石綿)を含むパッキンが使用されていましたが、健康リスクの問題から現在ではノンアスベストパッキンが主流となっています。これらは、耐熱性や耐薬品性を備えつつ、安全性の高い素材で作られています。
- 耐熱性・耐薬品性が高いため、化学工場や高温環境の配管に適している。
- 金属との密着性が良く、フランジ部分のシール性能を高める。
- 環境や人体への影響が少ないため、安全性が高い。
ノンアスベスト系パッキンは、アスベストの代替品として広く普及し、耐久性と安全性のバランスが取れた選択肢として多くの業界で採用されています。
金属系パッキン
金属を使用したフランジパッキンは、極端な高温・高圧の環境でも安定した密閉性能を発揮します。主に以下のような種類があります。
- スパイラルパッキン:金属と柔軟なフィラー材を組み合わせ、密閉性と耐久性を両立。
- 波形パッキン:金属に波状の加工を施し、密着性を向上させたタイプ。
- リングジョイントガスケット:特に高圧環境で使用される精密加工された金属パッキン。
金属系パッキンは、ボイラー設備や高圧配管など、過酷な環境下で使用されることが多いですが、ゴムやノンアスベストパッキンに比べるとコストが高く、取り扱いに専門的な知識が必要です。
フランジパッキンの規格と厚みの選び方
フランジパッキンを選ぶ際には、規格と厚みを正しく理解することが重要です。適切な規格と厚みを選ぶことで、漏れのリスクを低減し、設備の寿命を延ばすことができます。この章では、フランジパッキンの主な規格と、厚みを選ぶ際のポイントを解説します。
フランジパッキンの主な規格
フランジパッキンには、JIS規格、ANSI規格、DIN規格など、用途に応じたさまざまな規格が存在します。それぞれの特徴を理解し、使用するフランジの規格に適したものを選びましょう。
- JIS規格(日本工業規格)
日本国内で広く採用されている規格で、多くの工場や施設で使用されています。JIS B 2404 など、フランジの種類に応じた細かい規定があります。 - ANSI規格(米国規格)
主に海外の設備や輸入機器で採用される規格です。米国をはじめとする海外市場向けの機器を扱う際には、ANSI規格のパッキンが必要になることがあります。 - DIN規格(ドイツ規格)
欧州地域で主流の規格で、特に化学・石油関連の設備で採用されることが多いです。国際的な取引を行う場合には、DIN規格のパッキンを選ぶことが求められることもあります。
規格を誤ると、フランジとパッキンの適合性が悪くなり、密閉性能が低下する原因となります。事前に使用するフランジの規格を確認し、適切なパッキンを選定することが重要です。
フランジパッキンの厚みの選び方
パッキンの厚みは、フランジの密閉性や耐久性に大きく影響します。一般的な厚みは1.5mm、2.0mm、3.0mmが主流ですが、使用環境によって適切な厚みが異なります。
- 1.5mmのパッキン
比較的低圧の配管や、細かいシールが必要な場所に適しています。
例えば、冷却水ラインや一般的な給水管など、そこまで強い圧力がかからない環境では1.5mmの厚みで十分な場合が多いです。 - 2.0mmのパッキン
標準的な厚みで、多くのフランジに適用可能です。バランスの取れた厚みであり、さまざまな設備で使用されます。
例えば、一般的な工場配管やポンプ周辺の接続部などでよく使われます。 - 3.0mmのパッキン
高圧・高温環境に適しており、特に厳しい使用条件下での密閉に用いられます。
例えば、ボイラー設備や高温スチームラインでは、3.0mmの厚みが必要になることが多いです。
パッキンの厚みが薄すぎると密閉性が不足し、厚すぎるとフランジの締め付けが不十分になるリスクがあります。そのため、使用環境の圧力・温度・フランジの特性を考慮して、適切な厚みを選ぶことが大切です。
フランジパッキンの種類と特徴
フランジパッキンには、さまざまな材質や構造の種類があり、用途や環境によって最適なものを選ぶ必要があります。パッキンの種類ごとの特性を理解し、設備の安全性や耐久性を向上させるために適切なものを選びましょう。
ゴム系パッキン
ゴム系パッキンは、柔軟性と耐久性に優れた素材で、多くの工業用途で使用されています。ゴムの種類によって耐薬品性や耐熱性が異なるため、用途に応じた選定が重要です。
- NBR(ニトリルゴム)
- 特徴:耐油性に優れ、機械油やガソリンなどの石油系流体に強い。
- 用途:工場の油圧機器、エンジン周辺部のシール材など。
- 耐熱温度:-40℃~100℃程度。
- EPDM(エチレンプロピレンゴム)
- 特徴:耐候性・耐オゾン性・耐薬品性が高く、屋外環境や水回りでの使用に適する。
- 用途:給水管や温水設備、屋外配管など。
- 耐熱温度:-50℃~150℃程度。
- FKM(フッ素ゴム)
- 特徴:耐熱性・耐薬品性・耐溶剤性に優れ、過酷な環境でも長期間使用可能。
- 用途:化学プラント、高温スチームライン、航空宇宙分野など。
- 耐熱温度:-20℃~250℃程度。
ゴム系パッキンは、低圧・常温環境での密閉に適しているため、一般的な工場設備や水処理施設などで幅広く使用されています。
ノンアスベストパッキン
かつてフランジパッキンにはアスベスト(石綿)を含む製品が主流でしたが、健康被害のリスクから使用が禁止されました。現在では、ノンアスベスト素材が主流となっています。
- 特徴:アスベストを使用せず、ガラス繊維やアラミド繊維などを組み合わせた環境対応型のパッキン。
- 用途:化学プラント、食品加工工場、医薬品工場などの安全基準が求められる設備。
- 耐熱温度:200℃~400℃程度(製品による)。
ノンアスベストパッキンは、耐熱性・耐薬品性・安全性を兼ね備えた環境配慮型のパッキンであり、今後さらに需要が高まると考えられます。
メタルパッキン
メタルパッキンは、金属材料を用いた高耐久性のパッキンで、極限環境での密閉が求められる場面で使用されます。
- スパイラルガスケット:金属と柔軟な充填材を組み合わせた構造で、耐熱性・耐圧性に優れる。ボイラーや高温ガス配管などに使用。
- 金属リングパッキン:完全金属製で、超高圧環境(石油・ガス業界など)に適応。
金属パッキンは、ゴム系やノンアスベストに比べて高コストですが、長期間の使用が可能で、頻繁なメンテナンスが難しい設備に適しています。
フランジパッキンの耐久性とコストのバランス
フランジパッキンを選ぶ際、最も重要なのは耐久性とコストのバランスです。高い耐久性を誇るパッキンは長期間の使用に耐えるものの、その分コストが高くなる傾向があります。反対に、安価なパッキンは初期コストを抑えることができますが、頻繁に交換が必要になる可能性もあります。この記事では、耐久性とコストのバランスをうまく取るためのポイントを解説します。
耐久性を重視する場合の選び方
耐久性を最優先にする場合、パッキンの材質や設計が重要な要素となります。特に、過酷な環境で使用する場合は、耐熱性や耐薬品性に優れた素材を選ぶことが求められます。
- 高耐熱性パッキン(フッ素ゴム、金属ガスケット)
高温・高圧環境で使用する場合、耐熱性の高い素材を選ぶことが重要です。特に、化学プラントや石油・ガス関連の設備では、フッ素ゴムや金属ガスケットが長期間の使用に耐え、漏れを防ぐ役割を果たします。これらはコストが高くても、設備の長寿命化に繋がります。 - 耐薬品性パッキン(EPDM、アラミド繊維)
化学薬品を扱う施設では、薬品に強いパッキンを選ぶことが重要です。EPDMは酸・アルカリに強く、化学薬品を取り扱う工場や設備に適していますが、耐熱性が低いため、使用環境に合った選定が求められます。
耐久性が高いパッキンを使用することで、定期的な交換やメンテナンスが不要となり、長期的にはコスト削減にも繋がります。
コストを重視する場合の選び方
コストを重視する場合、初期投資が抑えられるパッキンを選ぶことで、設備投資を軽減できますが、長期間にわたる維持管理が発生する可能性もあるため、選定には注意が必要です。
- ゴム系パッキン(NBR、EPDM)
ゴム系パッキンは比較的安価で、一般的な設備や低圧環境での使用に向いています。これらは初期コストが低いため、短期間での運用に適していますが、使用環境が厳しくなると寿命が短くなることがあるため、定期的な交換が必要です。 - ノンアスベストパッキン
ノンアスベストパッキンは、安全性を確保しつつ、比較的低価格で供給されています。アスベストを使用しないため、環境規制を遵守しながら使用でき、コストパフォーマンスが高い選択肢となります。
コストを重視する場合でも、交換の手間やダウンタイムを考慮に入れて、全体的なコスト削減を目指すことが重要です。安価なパッキンでも、頻繁に交換する必要がある場合、結果的にコストが増加することもあります。
耐久性とコストを両立させる選び方
最も理想的なのは、耐久性とコストのバランスを取ることです。長期的な運用と維持管理のコストを見越した選定を行うことが、最適な選択に繋がります。
- 中程度の耐熱性・耐薬品性を持つパッキン
フッ素ゴムやNBRのような、耐熱性や耐薬品性に一定の強さを持つパッキンを選ぶと、過酷な環境でも一定の耐久性を保ちながら、初期投資を抑えることが可能です。
例えば、化学工場などで使用する場合、中程度の耐熱性や耐薬品性が求められることが多く、このようなバランスの取れたパッキンを選ぶと、長期的に見てもコストパフォーマンスが良くなります。 - 定期的なメンテナンスの計画
初期費用が安価なパッキンを選んだ場合でも、定期的にメンテナンスを行うことを前提にした選定を行うことで、突然のトラブルや設備のダウンタイムを防ぐことができます。これにより、コストの最適化が図れます。
フランジパッキンの選び方:用途・材質・厚みのポイント
フランジパッキンを選ぶ際に重要なポイントは、「用途」「材質」「厚み」の3つの要素です。これらをしっかりと把握して選ぶことで、最適なパッキンを見つけることができ、設備の信頼性や効率性を向上させることができます。ここでは、それぞれのポイントを詳しく解説していきます。
フランジパッキンの用途に応じた選び方
フランジパッキンの選定は、まずどのような用途で使用するかが最も重要です。使用する環境に応じて、耐圧性や耐熱性、化学薬品への耐性などを考慮する必要があります。
- 高温・高圧環境の場合
高温や高圧がかかる環境では、耐熱性や圧力に強いパッキンが求められます。特に、化学プラントや石油・ガス関連の設備で使用する際は、金属ガスケットやフッ素ゴムなどが適しています。これらは高圧にも耐えうるため、設備の効率性を損なうことなく安全に運用することができます。 - 化学薬品を扱う設備の場合
化学薬品を扱う場合、薬品に強い素材が必要です。例えば、**EPDM(エチレンプロピレンゴム)やPTFE(テフロン)**などの素材は、酸やアルカリ、溶剤にも耐性があるため、化学工場や製薬業界でよく使用されています。適切な材質を選ぶことで、薬品の漏れを防ぎ、設備を長期間安定させることができます。 - 低圧環境や住宅設備の場合
低圧で使用する設備においては、耐圧性をそれほど重視する必要はありません。このような場合、NBR(ニトリルゴム)やシリコンゴムといった、比較的低コストで耐久性のある素材が適しています。住宅や一般的な設備で使う場合は、このような素材を選んでコストを抑えることができます。
用途に応じて適切な材質を選ぶことで、設備の寿命を延ばし、トラブルを未然に防ぐことができます。
フランジパッキンの材質に応じた選び方
フランジパッキンの材質は、耐久性や性能を大きく左右します。どのような材質が必要かは、使用する環境に依存しますが、ここでは代表的な材質とその特徴を紹介します。
- ゴム系パッキン(NBR、EPDM、シリコンゴム)
ゴム系パッキンは、柔軟性が高く、取り扱いやすいため、一般的な設備や低圧環境でよく使用されます。NBRは油やガソリンに強い一方で、EPDMは耐薬品性や耐候性に優れており、シリコンゴムは高温環境に強いという特徴があります。各ゴム系素材は、使用目的に応じた選定が重要です。 - フッ素ゴム・PTFE(テフロン)
フッ素ゴムや**PTFE(テフロン)**は高耐熱性、耐薬品性に優れており、過酷な条件で使用する際に最適です。特に、高温・高圧や化学薬品を扱う設備には欠かせない素材です。ただし、コストが高くなるため、費用対効果を考慮して選ぶことが重要です。 - 金属ガスケット(鋼、ステンレス)
金属ガスケットは高圧や高温に耐える強度を持ちます。圧力が高い配管システムや、大型機器に使用されることが多いです。ステンレスや鋼などが使用され、長期間の耐用年数と安定した性能を提供します。ただし、柔軟性に欠けるため、しっかりとした設計が求められます。
材質の選定は、フランジパッキンの耐久性やコスト、使用環境に合わせて行うことが大切です。適切な材質を選ぶことで、設備の信頼性を高め、メンテナンス費用を削減できます。
フランジパッキンの厚みに応じた選び方
フランジパッキンの厚みも選定において重要な要素です。厚みが薄すぎると、圧力や温度変化に耐えられず、パッキンが劣化しやすくなります。一方で、厚すぎるパッキンは、過剰な圧力がかかり、設備に負担をかけることがあります。
- 適切な厚みの選定
フランジパッキンの厚みは、使用するフランジのサイズや圧力に応じて決める必要があります。通常、厚みの選定は規格に基づいて行うことが多いですが、圧力が高い場合や特殊な環境下では、厚みを調整して選定します。 - 圧力が高い環境の場合
高圧環境下で使用する場合は、パッキンの厚みが重要です。圧力に耐えられる十分な厚みを持つパッキンを選ぶことで、圧力変動によるトラブルを防ぎ、密閉性を保つことができます。 - 低圧環境や密閉性重視の場合
低圧環境や密閉性が特に重要な場合は、薄めのパッキンを選ぶことができますが、あまり薄くすると密閉性が低下してしまいます。そのため、適切な厚みを選定することが重要です。
厚みを適切に選ぶことで、パッキンの寿命を延ばし、トラブルを回避することができます。圧力や使用環境に応じた厚みを選定することが、最適なフランジパッキンの選び方のポイントとなります。
フランジパッキンの種類・厚みを比較:耐久性とコストで選ぶおすすめ5選
フランジパッキンはその用途や使用環境に応じて、さまざまな種類や厚みが選ばれます。ここでは、耐久性とコストのバランスを考慮し、おすすめのフランジパッキン5選をご紹介します。それぞれの特徴と、どのような状況で最適かを説明していきますので、自分のニーズに合ったものを選ぶ参考にしてください。
1. EPDMゴム製フランジパッキン
EPDMゴム(エチレンプロピレンゴム)は、耐熱性や耐候性、耐薬品性に優れた素材です。特に、水処理設備や化学プラントなどでよく使用されます。耐圧性も高く、低圧環境や化学薬品に強いので、薬品を扱う配管に適しています。さらに、シール性能が高く、漏れを防ぎやすい点も大きな特徴です。
- 特徴
- 耐熱性、耐薬品性に優れたゴム素材
- 低圧環境に強い
- 優れたシール性能で漏れを防止
- 一般的にコストパフォーマンスが良い
- おすすめの用途
水処理施設や化学プラントの配管、薬品を扱う設備で使用するのに最適です。
2. PTFE(テフロン)製フランジパッキン
**PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)**は、優れた耐薬品性と高い耐熱性を誇る素材で、特に化学薬品や高温環境下で使用されます。高圧や高温、化学物質に対する耐性が非常に高いため、石油化学プラントや製薬工場など、過酷な環境でも安心して使用できます。また、PTFEは非常に滑りが良いため、摩擦や劣化を防ぐ効果も期待できます。
- 特徴
- 耐薬品性、耐熱性が非常に高い
- 高圧環境や高温でも安定
- 滑りが良いため摩擦や劣化を防ぐ
- コストが比較的高い
- おすすめの用途
高温・高圧環境下で化学薬品を扱うプラントや製薬工場に最適です。
3. NBRゴム製フランジパッキン
NBRゴム(ニトリルゴム)は、油やガソリンなどの石油系液体に強い素材で、特に自動車産業や石油関連施設で使用されています。耐油性が高く、化学薬品に対する耐性もあるため、ガソリンスタンドや石油プラントでの使用が推奨されます。耐圧性もあり、密閉性が高いため、高圧環境にも適しています。
- 特徴
- 耐油性に優れ、石油系液体に強い
- 高圧環境にも対応可能
- 密閉性が高く、漏れを防止
- コストが比較的低いためコストパフォーマンスが良い
- おすすめの用途
自動車関連の配管や石油プラント、ガソリンスタンドなどでの使用に最適です。
4. シリコンゴム製フランジパッキン
シリコンゴムは、高温に強く、熱伝導性が高いため、高温環境下で使用されることが多いです。特に、製造設備や食品業界で使用されることが多く、食品衛生基準に適合したシリコンゴム製フランジパッキンも存在します。シリコンゴムは弾力性が高く、長期間使用しても劣化しにくいという特徴があります。
- 特徴
- 高温環境に強く、熱伝導性が高い
- 食品業界などでの使用が可能
- 弾力性が高く、長期間使用しても劣化しにくい
- 耐薬品性があり、特に食品や医薬品分野での使用に適している
- おすすめの用途
高温環境や、医薬品・食品の設備での使用に最適です。
5. 金属製フランジパッキン(ステンレス、鋼)
金属製フランジパッキンは、鋼やステンレスなどの金属を素材として使用しています。これらのパッキンは、非常に高圧や高温に耐えることができるため、大型機器や発電所、化学プラントで広く使用されています。金属ガスケットは、他の素材に比べて非常に丈夫で、圧力のかかる環境下でも安定して使用できます。
- 特徴
- 高圧、高温に強い
- 強度があり、耐久性に優れている
- 高コスト
- おすすめの用途
発電所や大型機器、化学プラントなど、過酷な環境で使用するのに最適です。
以上、耐久性とコストを考慮したおすすめのフランジパッキン5選をご紹介しました。各製品は使用環境や必要な耐性に応じて選定することが重要です。自分の設備や用途に最適なフランジパッキンを選び、安全で安定した運用を実現しましょう。
フランジパッキンの規格と厚みの選び方
フランジパッキンを選ぶ際、規格や厚みも非常に重要なポイントです。規格とは、パッキンのサイズや形状、材質などの基準を示すものであり、厚みはその密閉性や圧力耐性に大きな影響を与えます。適切な規格と厚みを選ぶことで、より高い性能と耐久性を得ることができます。ここでは、フランジパッキンの規格や厚みについて、基本的な知識と選び方を解説します。
1. フランジパッキンの規格の選び方
フランジパッキンの規格は、主にJIS(日本工業規格)やANSI(アメリカ国家規格協会)などで決められています。これらの規格に基づいて、パッキンのサイズや形状が決まるため、選ぶ際には使用するフランジの規格に合ったパッキンを選ぶ必要があります。
- JIS規格
日本国内で一般的に使用される規格で、標準的なサイズや形状が決められています。JIS規格のフランジパッキンは、日本国内の設備や工場でよく使用されます。 - ANSI規格
アメリカやその他の国々で使用される規格です。JIS規格と比較すると、サイズや形状に若干の違いがありますが、国際的に通用する規格として非常に広く使用されています。
規格を選ぶ際には、使用するフランジの規格に合わせて選ぶことが最も重要です。規格が一致しないと、パッキンがフランジに適合せず、漏れや破損の原因となります。
2. フランジパッキンの厚みの選び方
フランジパッキンの厚みは、その圧力耐性や密閉性に直結します。厚みが薄すぎると圧力に耐えられず、逆に厚すぎるとパッキンが硬くなりすぎて、密閉性が落ちることがあります。適切な厚みを選ぶためには、使用する設備の圧力や温度、使用環境に応じて最適なものを選ぶ必要があります。
- 標準厚みのパッキン
一般的な使用環境に適した厚みのパッキンです。圧力が低い設備や、温度変化が少ない環境では、標準厚みのパッキンが十分に機能します。 - 厚みのあるパッキン
高圧や高温環境で使用する場合、パッキンの厚みを増すことで、より高い密閉性と圧力耐性を確保することができます。高圧配管や極端な温度環境には、厚みがあるパッキンが適しています。
3. 厚みと規格のバランスを取る
フランジパッキンを選ぶ際には、規格と厚みのバランスを考慮することが大切です。規格が合っていないと、厚みが適切であってもパッキンはフランジにうまくフィットせず、漏れや破損の原因になります。規格と厚みをしっかりと確認し、使用する環境に最も適した組み合わせを選ぶことが、フランジパッキンの性能を最大限に引き出すポイントです。
フランジパッキンにアスベストが含まれているものに注意
過去には、フランジパッキンにアスベストが使用されていたことがありましたが、現在ではその使用が禁止されています。アスベストはその高い耐熱性から一時的に重宝されていたものの、人体に非常に有害であることが分かり、現在ではすべてのフランジパッキンにおいてアスベストを使用することはありません。以下の点に注意して、アスベストを含まないフランジパッキンを選ぶことが重要です。
1. アスベストを含むフランジパッキンのリスク
アスベストを含んだフランジパッキンは、取り扱いや交換作業中に粉塵が飛散し、呼吸器系に害を及ぼすことがあります。アスベストは発がん性物質としても広く知られており、長期的な健康リスクを伴います。したがって、現在でも古い設備のフランジパッキンを交換する際には、アスベストが含まれていないかどうかを確認することが必要です。
2. アスベスト不使用のフランジパッキン
現代のフランジパッキンには、アスベストを含まない材料が使用されています。代わりにグラファイトやセラミック、ゴム素材などが使用され、アスベストに代わる耐熱性や耐圧性が確保されています。新しいパッキンを選ぶ際には、アスベストフリーであることを確認するようにしましょう。
3. 古い設備のパッキン交換時の注意点
もし古い設備でアスベストを含むフランジパッキンを発見した場合、その取り扱いや交換は慎重に行わなければなりません。専用の防護具を使用し、専門業者による交換作業を依頼することを強くおすすめします。
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