減圧弁は、入口(一次側)の高い圧力を、出口(二次側)で使いたい圧力まで下げて一定に保つ弁です。この記事では、設備担当者・施工業者の方向けに、減圧弁の二次側圧力の調整方法(手順)と、「調整できない」「圧力が安定しない」ときの原因と対策を、ベン(VENN)・ヨシタケのカタログの記載をもとにまとめました。レギュレーターとの違いや、当店で扱っている減圧弁(ヨシタケ GP-1000・GD-30、ベン RP6-B・RD40・RD31N)の調整範囲も載せています。
この記事の要点
- 調整するのは二次側(出口)の圧力です。ハンドル・調節ねじでばね荷重を変えて合わせます(ベン RP-6・RD-40、ヨシタケ GD-30 は右回転で圧力が上がり、左回転で下がる)
- ベンのカタログによると、減圧弁は未調整の状態で出荷され、未調整のままでは二次側の圧力はほとんど零です
- 調整できない主な原因は、二次側の調整範囲(ばねの区分)外の圧力にしようとしている、一次側との差圧が小さい、減圧比が大きすぎる、呼び径が大きすぎる、ドレン・異物などです
- 使っていないときに二次側の圧力が少し上がる(締切昇圧)、流量が増えると少し下がる(オフセット)のは、カタログに値が示されている減圧弁の特性です
目次
蒸気用減圧弁(パイロット式):ヨシタケ GP-1000
二次側0.05〜0.9MPa JIS 10K フランジ形/サイズを選んで商品ページへ
GP-1000-15A GP-1000-20A GP-1000-25A GP-1000-32A GP-1000-40A GP-1000-50A GP-1000-65A GP-1000-80A GP-1000-100A
蒸気用減圧弁(パイロット式):ベン RP6-B
二次側0.03〜0.8MPa 手動ハンドル式(100Aは調節ねじ式)/サイズを選んで商品ページへ
RP6-B-15A RP6-B-20A RP6-B-25A RP6-B-32A RP6-B-40A RP6-B-50A RP6-B-65A RP6-B-80A RP6-B-100A
水用減圧弁(Hタイプ):ベン RD31N-FH
水・温水(空気・不活性ガスにも使用可) 二次側0.3〜0.7MPa/サイズを選んで商品ページへ
RD31N-FH-15A RD31N-FH-20A RD31N-FH-25A RD31N-FH-32A RD31N-FH-50A
水用減圧弁(Lタイプ):ベン RD31N-FL
水・温水(空気・不活性ガスにも使用可) 二次側0.05〜0.35MPa/サイズを選んで商品ページへ
RD31N-FL-20A RD31N-FL-25A RD31N-FL-32A RD31N-FL-40A RD31N-FL-50A
減圧弁の調整とは:何を調整するのか
減圧弁で調整するのは、二次側(出口側)の圧力です。減圧弁の中にはばねがあり、ハンドルや調節ねじでばねの締め付け(ばね荷重)を変えると、二次側の圧力が変わります。一次側(入口側)の圧力は、減圧弁では調整できません。
ベンのカタログ(減圧弁設置上のポイント、41頁)には、「二次側圧力の調整は、未調整の状態で工場出荷していますので、所定の圧力に調整の上ご使用ください」「圧力未調整の場合、二次側の圧力はほとんど零の状態となります」とあります。新しく取り付けた減圧弁で二次側の圧力が出ないときは、まず未調整でないかを確認してください。
カタログで使われる主な用語は次のとおりです(ベンのカタログ23頁「用語説明」より)。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 一次側圧力 | 減圧弁の入口側の圧力(減圧弁に近い入口側配管内の圧力) |
| 二次側圧力 | 減圧弁の出口側の圧力(減圧弁に近い出口側配管内の圧力) |
| 設定圧力 | 最小調整可能流量における二次側圧力 |
| 締切昇圧 | 二次側のバルブを締め切ることで、設定圧力から上昇する圧力 |
| オフセット | 一次側圧力を一定にして流量を増やしたときに変化する二次側圧力と、設定圧力との差 |
| 最小調整可能流量 | 安定した流れの状態を維持できる最小の流量 |
二次側圧力の調整手順
蒸気・気体用の減圧弁について、ベンのカタログ(41頁)に載っている二次側圧力の調整手順は次のとおりです。減圧弁の前後に止弁と圧力計があり、バイパス配管(またはブロー用止弁)がある配管を前提にしています。

- 一次側・二次側の止弁を閉めておきます
- バイパス管の止弁、またはブロー用止弁を開け、配管の異物を完全に除去します。このフラッシングは時間をかけて十分に行い、二次側の圧力が上がり過ぎないよう注意します
- バイパス管の止弁、またはブロー用止弁を完全に閉めます
- ハンドル、または調節ねじによるばね荷重がない状態であることを確認します
- 一次側の止弁を徐々に開けます
- 二次側の圧力を調整したときに軽い流れを受け入れられるよう、二次側の止弁を少し開けます
- ハンドル、または調節ねじでわずかにばね荷重を加え、流体が通りはじめたら二次側の止弁を徐々に開けます
- 二次側の圧力計を見ながら、希望の設定圧力になるようにさらにばね荷重を加えます
- 希望の圧力になったら、ばね荷重が変化しないようハンドル、または調節ねじを固定します
ハンドル・調節ねじの回し方
- ベン RP-6型(呼び径15〜80)・RD-40型:ハンドルを引っ張ってから回します。右回転で圧力上昇、左回転で圧力降下です(カタログ41頁「操作方法略図」)。RP-6型の手動ハンドルは呼び径15〜80までで、呼び径100以上は調節ねじ式です
- 調節ねじ式(ベンのカタログ「その他の減圧弁の場合」):キャップを外し(左回転で外れる)、ロックナットを緩めて(左回転)から、調節ねじを回します。右回転で圧力上昇、左回転で圧力降下です
- ヨシタケ GD-30:ハンドル操作で、右回転で圧力を上げ、左回転で下げます
調整部の形や操作は型式によって違います。実際の作業は、お使いの減圧弁の取扱説明書に従ってください。
減圧弁が調整できない・圧力が安定しない原因と対策
「ハンドルを回しても二次側の圧力が上がらない」「設定した圧力にならない」「圧力がふらつく」といったときに確認したい点を、カタログの記載をもとにまとめました。
| 症状 | 考えられる原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 二次側の圧力がほとんど出ない | 未調整(ばね荷重がかかっていない)/一次側の止弁が開いていない | 上の手順で調整する。一次側の止弁・一次側の圧力計を確認する |
| ある圧力より上(下)に調整できない | 型番(ばねの区分)の二次側調整範囲の外の圧力にしようとしている | 二次側の調整範囲に合う型番を選ぶ(型式別の調整範囲) |
| 一次側に近い圧力にできない | 一次側と二次側の差圧が最小差圧より小さい(ヨシタケ GP-1000 は、二次側圧力は一次側圧力の90%以下) | 差圧を確保する。一次側の圧力が下がっていないか確認する |
| 大きく減圧すると安定しない | 最大減圧比を超えている | 減圧弁を2台使う二段減圧にする。ベンのカタログでは2台の間隔を1〜2m以上としています |
| ハンチング(圧力がふらつく)・振動 | 呼び径が大きすぎる(最小調整可能流量=定格流量の5%以下で使っている)/蒸気用で減圧弁にドレンが滞留している/二次側の電磁弁・コントロールバルブが近すぎる | 流量に合った呼び径にする(流量が季節で大きく変わる場合は大小2台を切り換える)/ドレンが入らない配管にするか一次側にスチームトラップを付ける/距離をとる(電磁弁は2m以上、コントロールバルブは呼び径100以下で1m以上・125以上で1.5m以上) |
| 使っていないときに二次側の圧力が上がる | 締切昇圧(下の節)/減圧弁は完全には閉止できないため、蒸気の使用量が零に近いと二次側の圧力が上がる | 締切昇圧を見込んで設定する/蒸気使用量が零に近くなる場合は、二次側にもスチームトラップを付ける(ベンのカタログ図7) |
| 流量が多いと二次側の圧力が下がる | オフセット(下の節)/呼び径が小さく流量が足りない | オフセットを見込んで設定する/呼び径選定図表で呼び径を確認する |
| 一次側の圧力が変わると二次側の圧力も変わる | 減圧弁の圧力特性(一次側圧力の変化で二次側圧力がわずかに変わる) | 一次側の圧力の変動が大きい場所は、メーカー・販売店に相談する(ベンのカタログには、貫流ボイラを複数台制御する場所は問い合わせるよう注記があります) |
| 異物で弁が閉まらない・作動が悪い | 配管内の異物のかみ込み | 減圧弁の一次側にストレーナを付ける(ベンのカタログでは国土交通省仕様の網目を蒸気用80メッシュ以上)。取付け時はフラッシングを十分に行う |
このほか、ベンのカタログ(40〜41頁)では、減圧弁の二次側に安全弁を付けること、減圧弁の前後に直管部・止弁・圧力計を設けること、ねじ込み形はユニオン継手などで取外しできるようにすること、運転を止められない装置にはバイパス配管を設けることも挙げています。安全弁の設定圧力の目安は安全弁とは|設定圧力の決め方、ストレーナのメッシュ数はY形ストレーナーとは|メッシュ数の選び方で紹介しています。
締切昇圧・オフセットとは(カタログの値)
減圧弁の二次側圧力は、流量や一次側圧力によって少し変わります。これは故障ではなく、カタログに値が示されている特性です。ベンのカタログ(23頁)でも「締切昇圧、オフセットを考慮の上設定圧力を決定」するよう書かれています。
| 項目 | ヨシタケ GP-1000 | ベン RP-6型(呼び径15〜80) |
|---|---|---|
| 締切昇圧 | 0.02MPa以内 | 0.02MPa以下 |
| オフセット | 0.05MPa以内 (設定圧力0.1MPa以内は0.03MPa以内) |
0.02MPa以内(二次側0.03〜0.035MPa) 0.03MPa以内(0.035を超え0.07MPa) 0.05MPa以内(0.07を超え0.8MPa) |
| 最小調整可能流量 | 定格流量の5% | 定格流量の5% |
出典:ヨシタケ GP-1000 カタログ1-44頁(流量特性線図)、ベン RP-6 カタログ10頁(仕様)・23頁。ベン RP-6型の呼び径100〜200のオフセットは0.05MPa以内です。
たとえば、二次側の機器を止めたときに圧力計が設定より0.01〜0.02MPaほど上がるのは、締切昇圧の範囲内です。一方、締切昇圧の値を大きく超えて上がり続ける場合は、弁座への異物のかみ込みなども考えられます。
当店の減圧弁の調整範囲(型式別)
二次側の調整範囲は型番(ばねの区分)で決まっています。調整したい圧力が範囲に入っているか確認してください。
| 型式 | 流体・形式 | 一次側圧力 | 二次側の調整範囲 | 最小差圧 | 最大減圧比 | 呼び径(面間) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ヨシタケ GP-1000 | 蒸気・パイロット式 JIS 10K FF |
0.1〜1.0MPa | 0.05〜0.9MPa (一次側の90%以下) |
0.05MPa | 20:1 | 15A(150)・20A(155)・25A(160)・32A(190)・40A(190)・50A(220)・65A(245)・80A(290)・100A(330) |
| ベン RP6-B | 蒸気・パイロット式 JIS 10K FF |
1.0MPa以下 | 0.03〜0.8MPa | 0.05MPa (100Aは0.07MPa) |
20:1 | 15A(140)・20A(140)・25A(150)・32A(180)・40A(180)・50A(200)・65A(230)・80A(260)・100A(320) |
| ベン RD40-JL | 蒸気・小型 ねじ込み形 |
1.0MPa以下 | 0.02〜0.25MPa | 0.02MPa | 20:1 | 15A(83)・20A(96)・25A(108) |
| ベン RD40-JM | 蒸気・小型 ねじ込み形 |
1.0MPa以下 | 0.2〜0.4MPa | 0.02MPa | 20:1 | 15A(83)・20A(96)・25A(108) |
| ヨシタケ GD-30-B | 蒸気・直動式 ねじ込み形 |
1.7MPa以下 | 0.05〜0.4MPa | 0.05MPa | 10:1 | 15A(80)・20A(85)・25A(95) |
| ヨシタケ GD-30-C | 蒸気・直動式 ねじ込み形 |
1.7MPa以下 | 0.35〜1.0MPa | 0.05MPa | 10:1 | 15A(80)・20A(85)・25A(95) |
| ベン RD31N-FH | 水・温水(空気・不活性ガスにも使用可)・直動式 ねじ込み形 |
1.0MPa以下 | 0.3〜0.7MPa | 0.05MPa | 10:1 | 15A(125)・20A(130)・25A(145)・32A(175)・50A(205) |
| ベン RD31N-FL | 水・温水(空気・不活性ガスにも使用可)・直動式 ねじ込み形 |
1.0MPa以下 | 0.05〜0.35MPa | 0.05MPa | 10:1 | 20A(130)・25A(145)・32A(175)・40A(180)・50A(205) |
( )内は面間 L(mm)です。呼び径をクリックすると各サイズの商品ページへ移動します。値は各メーカーのカタログによります。
同じ型式で二次側の範囲が違う品番があります(ベン RD40 の JL/JM、ヨシタケ GD-30 の B/C、ベン RD31N の FH/FL)。調整したい圧力が今の品番の範囲を外れる場合は、ハンドルを回し続けても合いません。範囲の合う品番への交換をご検討ください。蒸気用減圧弁の呼び径の選び方は減圧弁の選定方法(蒸気用の口径の決め方)で、蒸気配管のバルブ全体は蒸気用バルブの種類と選び方で紹介しています。
減圧弁とレギュレーターの違い・記号と英語表記
減圧弁とレギュレーターの違い
どちらも、入口の圧力を下げて出口の圧力を一定に保つ機器で、働きは同じです。一般に、配管に組み込む蒸気用・水用のものは「減圧弁」、圧縮空気やガスのボンベ・機械の手前などで使う小型のものは「レギュレーター(圧力調整器)」と呼ばれることが多く、呼び方は業界や用途で異なります。
当店で扱っているのは配管用の減圧弁です。空気に使う場合は、カタログで空気・不活性ガスにも使用できるとされているベン RD31N(水・温水用)が該当します。ほかの型式は蒸気用です。
図面の記号と英語表記
英語では、減圧弁は pressure reducing valve(略して PRV)、レギュレーターは regulator と書かれます。図面の記号は、配管図・空気圧回路図などの種類や図面ごとの凡例で表し方が違うため、図面の凡例で確認してください。
よくある質問
Q. 減圧弁の圧力を上げるには、ハンドルをどちらに回しますか?
A. ベン RP-6型・RD-40型、ヨシタケ GD-30 は右回転で二次側の圧力が上がり、左回転で下がります。型式によって操作が違う場合があるため、取扱説明書で確認してください。
Q. 新しく付けた減圧弁で、二次側の圧力が出ません。
A. ベンのカタログでは、減圧弁は未調整の状態で出荷され、未調整の場合は二次側の圧力がほとんど零の状態になるとしています。調整手順に沿って、ばね荷重を加えて設定してください。
Q. ハンドルを回しても、ある圧力より上がりません。
A. 二次側の調整範囲(ばねの区分)を超えている、または一次側との差圧が最小差圧より小さいことが考えられます。上の「型式別の調整範囲」で確認してください。
Q. 減圧比が大きいときはどうしますか?
A. 最大減圧比(例:GP-1000・RP6-B・RD40 は20:1、GD-30・RD31N は10:1)を超える場合は、減圧弁を2台使う二段減圧にします。ベンのカタログでは、一段目と二段目で流量は同じでも圧力が違うため、それぞれ呼び径を選ぶこと、2台の間隔を1〜2m以上離すことが書かれています。
Q. 減圧弁の二次側に安全弁は必要ですか?
A. ベンのカタログでは、減圧弁の故障時に二次側の圧力が上がり機器が損傷するおそれがあるため、二次側に安全弁または安全逃し弁を取り付けるよう書かれています。
この記事で紹介した商品
- ヨシタケ GP-1000(蒸気用・パイロット式・JIS 10K FF):GP-1000-15A・GP-1000-20A・GP-1000-25A・GP-1000-32A・GP-1000-40A・GP-1000-50A・GP-1000-65A・GP-1000-80A・GP-1000-100A
- ベン RP6-B(蒸気用・パイロット式・JIS 10K FF):RP6-B-15A・RP6-B-20A・RP6-B-25A・RP6-B-32A・RP6-B-40A・RP6-B-50A・RP6-B-65A・RP6-B-80A・RP6-B-100A
- ベン RD40(蒸気用・小型・ねじ込み形):RD40-JL-15A・RD40-JL-20A・RD40-JL-25A(二次側0.02〜0.25MPa)、RD40-JM-15A・RD40-JM-20A・RD40-JM-25A(二次側0.2〜0.4MPa)
- ヨシタケ GD-30(蒸気用・直動式・ねじ込み形):GD-30-B-15A・GD-30-B-20A・GD-30-B-25A(二次側0.05〜0.4MPa)、GD-30-C-15A・GD-30-C-20A・GD-30-C-25A(二次側0.35〜1.0MPa)
- ベン RD31N(水・温水用・ねじ込み形):RD31N-FH-15A・RD31N-FH-20A・RD31N-FH-25A・RD31N-FH-32A・RD31N-FH-50A(二次側0.3〜0.7MPa)、RD31N-FL-20A・RD31N-FL-25A・RD31N-FL-32A・RD31N-FL-40A・RD31N-FL-50A(二次側0.05〜0.35MPa)
減圧弁の商品一覧もご覧ください。
減圧弁の型番・調整範囲・在庫のご相談
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読んだあとは、商品選びへ。
呼び径・接続方式・流体・圧力・温度をご確認ください。交換品や仕様に迷ったら、お問い合わせください。





