スチームトラップは、蒸気配管や蒸気を使う装置にたまるドレン(蒸気が冷えてできた水)を、蒸気を逃がさずに自動で排出する弁です。この記事では、設備担当者・施工業者の方向けに、スチームトラップの役割と仕組み、種類(ディスク式・フリーフロート式・バケット式・サーモエレメント式)の違い、用途から見た選び方を、TLV・ベン(VENN)・ヨシタケ・ミヤワキのカタログと仕様の記載をもとにまとめました。当店で扱っている12型式の比較表も載せています。
この記事の要点
- スチームトラップはドレンや空気だけを排出し、蒸気は通さない自動弁。蒸気主管・ヘッダのドレン抜き、熱交換器や釜などの装置、トレース・保温配管に付けます
- 当店の型式は、作動のしかたでディスク式・フリーフロート式・バケット式・サーモエレメント式の4つに分かれます
- 選ぶときは①使用圧力と作動圧力差 ②排出量(安全率)③出口側の背圧 ④接続・面間 ⑤取付姿勢と使用温度を確認します
- 用途の例(カタログの記載):蒸気主管・トレースには TLV A3N(ディスク式)、反応釜・ジャケット釜などの装置には TLV J3X(装置用フリーフロート式)、配管ライン・ヘッダにはベン AK1H-GL・ATB5-G
スチームトラップとは:役割と付ける場所
蒸気は、配管や装置の中で熱を渡すと冷えて水(ドレン)に戻ります。スチームトラップは、このドレンや配管内の空気を排出し、蒸気は通さないように自動で開閉する弁です。ドレンがたまったままだと、装置の加熱が遅れたり温度が上がらなかったりする原因になります。
メーカーのカタログでは、たとえば次のような働きや用途が書かれています。
- ベン AK-1H:「配管ライン、ヘッダなどのドレン抜きトラップとして一般的なトラップ」
- TLV J3X:「X-エレメントの採用で低温・高温エアを迅速に排除し、立ち上がり時間を短縮」「ドレンを連続排出する」
- TLV BT3N:「立ち上げ時に大量のドレンが発生しやすい蒸気主管・一般装置・暖房・空調・タンクヒーティングなど」

仕組みと種類:4つの方式の違い
スチームトラップは、ドレンを見分けて弁を開閉するしかけによって種類が分かれます。一般に、浮き(フロート・バケット)を使うメカニカル式、温度で動くサーモスタチック式、ディスクの動きを使うディスク式(サーモダイナミック式)に大きく分けられます。当店で扱っている型式を方式ごとにまとめると、次のとおりです。
| 方式 | しくみ(カタログの記載を中心に) | 当店の型式 |
|---|---|---|
| ディスク式 | 可動部はディスク1個のシンプルな構造(ヨシタケ TD-10NA)。TLV A3N は「蒸気加熱復水冷却式の二重蓋構造」、バイメタル式の自動ブローオフ機構を内蔵 | TLV A3N・AF3N、ヨシタケ TD-10NA・TSD-42、ミヤワキ S31N・S31NF |
| フリーフロート式(メカニカル式) | 球形のフロートがドレンの水位に応じて動き、ドレンを連続排出する。TLV J3X は X-エレメントで空気も排出 | TLV J3X-10、BT3N-10(手動バイパス弁付き) |
| バケット式(メカニカル式) | バケットの浮き沈みで弁を開閉する。ベン AK-1H は「メカニカル式」、全機構が蓋に取り付けてありメンテナンスが容易 | ベン AK1H-GL、ヨシタケ TB-880-10・TB-881-16 |
| サーモエレメント式(サーモスタチック式) | ドレンの温度で作動。ベン ATB-5 は「飽和蒸気温度から10℃降下した温度で作動」し、トラップ・ストップ弁・バイパスの3機能を本体に集約 | ベン ATB5-G |
各型式の構造図・仕様は、下の比較表の型式名から型式別の記事で確認できます。
用途から選ぶ
| 用途 | 型式の例 | カタログの記載 |
|---|---|---|
| 蒸気主管・高温トレース・保温(ジャケット)・保温用タンクヒーティング | TLV A3N・AF3N | 温度コントロールを必要としない一般的な用途 |
| 反応釜・ユニットヒーター・プレス機・ジャケット釜・ロール加熱機・シリンダードライヤーなどの装置 | TLV J3X-10 | 蒸気プロセス、特にバッチ運転のプロセスおよびドレン排除の難しい構造のプロセス |
| 立ち上げ時にドレンが多い蒸気主管・一般装置・暖房・空調・タンクヒーティング | TLV BT3N-10 | 手動バイパス弁の操作でスタートアップ時間の短縮、ストレーナー部のスケールを二次側へブロー可能 |
| 配管ライン・ヘッダのドレン抜き | ベン AK1H-GL・ATB5-G | AK-1H は配管ライン・ヘッダなどのドレン抜き。ATB-5 は管末から大型の機器まで使用できる |
| 高い圧力・温度の蒸気 | ヨシタケ TSD-42 | ステンレス鋼製、0.035〜4.2MPa・425℃(JIS Rc 接続) |
上の表は各メーカーのカタログに書かれた用途の例です。実際の選定は、使用圧力・排出量・設置条件を確認したうえで行ってください。判断に迷う場合はお問い合わせください。
選び方の5つのポイント
1. 使用圧力と作動圧力差(オリフィス)
使用圧力の範囲に入る型式を選びます。フリーフロート式の TLV J3X・BT3N はオリフィスNo.で最高作動圧力差が決まり(当店の J3X-10・BT3N-10 は1.0MPa)、カタログには「最高作動圧力差を超えて使用すると排出不能(フンヅマリ)となります」と書かれています。ディスク式の TLV A3N・ミヤワキ S31N は最低使用圧力が0.03MPa、ベン AK-1H は0.035MPa以下で極端に流量が少ない場合は他の型式を使うよう書かれています。
2. 排出量(安全率)
カタログの排出量(排水能力)のグラフ・表から、計画するドレン量に安全率をかけて選びます。安全率はカタログにより異なり、TLV A3N は2倍以上、TLV J3X・BT3N は1.5倍以上、ベン AK-1H・ATB-5 は3倍以上です。
3. 出口側の背圧
ドレン回収などでトラップの出口側に圧力(背圧)がかかる場合は、入口と出口の圧力差で選定します。TLV A3N・ヨシタケ TD-10NA・TSD-42・ベン ATB-5 は、背圧を入口側圧力の50%以内(以下)とするよう書かれています。
4. 接続と面間
ねじ込み形かフランジ形か、呼び径を確認します。交換のときは、配管を直さずに付けられるよう面間(L)を合わせます。メーカー別の面間はスチームトラップの面間一覧(TLV・ミヤワキ・ヨシタケ・ベンを比較)にまとめています。
5. 取付姿勢と使用温度
ベン AK-1H は「水平配管に正立取付」、ATB-5(ねじ込み)は「水平・垂直・横取付自由」とカタログにあります。そのほかの型式は取扱説明書の指定に従います。使用温度は多くの型式が220℃以下(ベン AK-1H・ATB-5 は184℃以下)で、ヨシタケ TSD-42 は425℃まで使えます。
当店で扱っている12型式の比較
型式名をクリックすると、その型式の仕様・面間を詳しく説明した記事へ、呼び径をクリックすると各サイズの商品ページへ移動します。
| 型式 | 方式・接続 | 使用圧力 | 使用温度 | 呼び径 |
|---|---|---|---|---|
| TLV A3N | ディスク式・ねじ込み形 | 0.03〜1.6MPa | 220℃ | 15A・20A・25A・32A・40A・50A |
| TLV AF3N | ディスク式・フランジ形 | 0.03〜1.6MPa | 220℃ | 15A・20A・25A・32A・40A・50A |
| TLV J3X-10 | フリーフロート式・ねじ込み形 | 〜1.0MPa | 220℃ | 15A・20A・25A |
| TLV BT3N-10 | フリーフロート式+手動バイパス弁・ねじ込み形 | 〜1.0MPa | 185℃ | 15A・20A・25A |
| ベン AK1H-GL | バケット式・ねじ込み形 | 0.035〜0.7MPa | 184℃以下 | 15A・20A・25A |
| ベン ATB5-G | サーモエレメント式・ねじ込み形 | 1.0MPa以下 | 184℃以下 | 15A・20A・25A |
| ヨシタケ TB-880-10 | バケット式・ねじ込み形(ストレーナ内蔵) | 1.05MPa以下 | 220℃ | 15A・20A |
| ヨシタケ TB-881-16 | バケット式・ねじ込み形 | 1.6MPa以下 | 220℃ | 25A |
| ヨシタケ TD-10NA | ディスク式・ねじ込み形(ストレーナ内蔵) | 0.035〜2.0MPa | 220℃ | 15A・20A・25A |
| ヨシタケ TSD-42 | ディスク式・ステンレス・ねじ込み形(ストレーナ内蔵) | 0.035〜4.2MPa | 425℃ | 15A・20A・25A |
| ミヤワキ S31N | ディスク式・ねじ込み形 | 0.03〜1.6MPa | 220℃ | 15A・20A・25A |
| ミヤワキ S31NF | ディスク式・フランジ形 | 0.03〜1.6MPa | 220℃ | 15A・20A・25A |
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トラップの入口側に付けるストレーナは、ストレーナーの商品一覧からお選びいただけます(ヨシタケ SY-5 は標準80メッシュ)。
よくある質問
Q. スチームトラップとは何ですか?
A. 蒸気配管や装置にたまるドレン(蒸気が冷えてできた水)や空気を排出し、蒸気は通さないように自動で開閉する弁です。
Q. スチームトラップにはどんな種類がありますか?
A. 当店の型式では、ディスク式(TLV A3N など)、フリーフロート式(TLV J3X など)、バケット式(ベン AK1H-GL、ヨシタケ TB-880 など)、サーモエレメント式(ベン ATB5-G)があります。
Q. どの型式を選べばよいですか?
A. 使用圧力、排出量(安全率)、出口側の背圧、接続・面間、取付姿勢と使用温度を確認して選びます。用途の例は上の「用途から選ぶ」をご覧ください。既設品の交換なら、同じ型式・同じ面間のものを選ぶのが基本です。
Q. スチームトラップのメーカーは?
A. 当店では TLV、ベン(VENN)、ヨシタケ、ミヤワキのスチームトラップを扱っています。
Q. 型番が分からないトラップと同じものを探したい
A. 本体の表示(メーカー・型式・呼び径)を確認してください。分からない場合は、写真や面間(端から端までの長さ)をお知らせいただければお調べします。
この記事で紹介した商品
- TLV A3N(ディスク式・ねじ込み形):A3N-15A・A3N-20A・A3N-25A・A3N-32A・A3N-40A・A3N-50A
- TLV AF3N(ディスク式・フランジ形):AF3N-15A・AF3N-20A・AF3N-25A・AF3N-32A・AF3N-40A・AF3N-50A
- TLV J3X-10(フリーフロート式):J3X-10-15A・J3X-10-20A・J3X-10-25A
- TLV BT3N-10(バイパスブロートラップ):BT3N-10-15A・BT3N-10-20A・BT3N-10-25A
- ベン AK1H-GL(バケット式):AK1H-GL-15A・AK1H-GL-20A・AK1H-GL-25A
- ベン ATB5-G(サーモエレメント式・バイパス付):ATB5-G-15A・ATB5-G-20A・ATB5-G-25A
- ヨシタケ TB-880-10(バケット式・ストレーナ内蔵):TB-880-10-15A・TB-880-10-20A
- ヨシタケ TB-881-16(バケット式・高圧用):TB-881-16-25A
- ヨシタケ TD-10NA(ディスク式・ストレーナ内蔵):TD-10NA-15A・TD-10NA-20A・TD-10NA-25A
- ヨシタケ TSD-42(ディスク式・ステンレス):TSD-42-15A・TSD-42-20A・TSD-42-25A
- ミヤワキ S31N(ディスク式・ねじ込み形):S31N-15A・S31N-20A・S31N-25A
- ミヤワキ S31NF(ディスク式・フランジ形):S31NF-15A・S31NF-20A・S31NF-25A
スチームトラップの商品一覧もご覧ください。
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