スチームトラップが「詰まる」と、ドレン(蒸気が冷えてできた水)が排出されず、装置や配管にドレンがたまります。この記事では、設備担当者・施工業者の方向けに、スチームトラップが詰まる原因と対策、故障するとどうなるか、点検・分解清掃のときの注意、手前に付けるストレーナの選び方を、TLV・ベン(VENN)・ヨシタケのカタログの記載をもとにまとめました。スチームトラップの仕組み・種類・選び方はスチームトラップとは|仕組みと種類の違い、用途と選び方で説明しています。
この記事の要点
- 詰まりの原因は、①配管内の異物(さび・スケール・ゴミ)②圧力差・背圧が仕様の外 ③容量不足 ④取付位置・姿勢 ⑤凍結に分けて考えると、対策が見つけやすくなります
- TLV のカタログには、最高作動圧力差を超えて使うと排出不能(フンヅマリ)になると書かれています。異物だけでなく、型式・オリフィスの選び方でも「詰まった状態」になります
- ベン(VENN)のカタログでは、トラップの入口側には必ずストレーナを設け、網目は80メッシュを推奨しています。ストレーナを内蔵した型式(ヨシタケ TB-880・TD-10NA・TSD-42 など)もあります
- 分解・点検は、蒸気圧力がなく、表面温度が十分に下がっている(80℃以下)ことを確認してから行います(ベン カタログ)
Y形ストレーナ(60メッシュ):ベン KY4-G2
ねじ込み形・蒸気用 トラップの手前に/サイズを選んで商品ページへ
KY4-G2-15A KY4-G2-20A KY4-G2-25A KY4-G2-32A KY4-G2-40A KY4-G2-50A
スチームトラップが故障するとどうなる?
スチームトラップは、蒸気を逃がさずにドレンや空気だけを排出する自動弁です。故障のしかたは大きく2つあります。
| 故障の状態 | 起きること |
|---|---|
| 閉じたまま(詰まり・排出不能) | ドレンが排出されず、装置や配管にたまる。加熱が遅れる、温度が上がらないなどの原因になる |
| 開いたまま(蒸気漏れ) | ドレンと一緒に蒸気が抜け続け、蒸気のむだになる |
この記事では、検索の多い「詰まり(閉じたまま)」を中心に説明します。なお、ベンのバイパス付スチームトラップ ATB-5 のカタログには「万一、トラップのサーモエレメントが破損した場合は、弁閉します」と書かれていて、部品の破損でも閉じたままになる型式があります。
詰まりの原因と対策(5つ)

| 原因 | カタログに書かれていること | 対策 |
|---|---|---|
| ① 配管内の異物(さび・スケール・ゴミ) | トラップの入口側には必ずストレーナを設ける。網目は80メッシュを推奨(ベン ATB-5)。最初の通気時はバイパス位置にして、管内のゴミ・スケールをブローする(同) | 入口側にストレーナを付ける(またはストレーナ内蔵の型式を選ぶ)。新設・改修後の運転開始前にブローする |
| ② 圧力差・背圧が仕様の外 | 最高作動圧力差を超えて使用すると排出不能(フンヅマリ)になる(TLV J3X・BT3N)。出口側背圧は入口側圧力の50%以内(TLV A3N、ベン ATB-5) | 使用圧力に合った型式・オリフィスを選ぶ。ドレン回収などで出口側に背圧がかかる場合は、入口と出口の圧力差で選定する |
| ③ 容量(排出量)不足 | 選定の際は2倍以上(TLV A3N)、1.5倍以上(TLV J3X・BT3N)の安全率。計画排出量の3倍以上の容量で選定(ベン AK-1H・ATB-5) | 排出量のグラフ・表で、安全率をみて呼び径・型式を選び直す |
| ④ 取付位置・姿勢 | 取付位置はドレンが自重で流入できるよう、できるだけ低い位置に(ベン ATB-5)。AK-1H は水平配管に正立取付(ベン)。蒸気主管に付ける場合は、主管と同径のセパレータ(ドレン溜り)を設ける(ベン ATB-5) | ドレンが流れ込む低い位置に、カタログで指定された姿勢で取り付ける |
| ⑤ 凍結・長期休止 | 凍結の恐れがある場合や長期間休止する場合は、運転停止後に滞留ドレンを排出する(ベン ATB-5)。凍結防止弁 NF6 のオプションがある(TLV A3N・J3X) | 停止後にドレンを抜く。屋外など凍結の恐れがある場所はオプションも検討する |
このほか、ベン AK-1H のカタログには「圧力が0.035MPa以下又は0.1MPa以下で極端に流量が少ない場合は、他の型式をご使用ください」とあり、低い圧力・少ない流量で使う場合も型式選びが大切です。
点検と分解清掃の注意
作動の確認
ベン ATB-5 のカタログでは、作動確認・凍結防止などでテスト弁が必要な場合、プラグ部分にテスト弁を取り付けて利用できるとされています。トラップの排出側の様子を確認できるようにしておくと、詰まり(ドレンが出ない)と蒸気漏れ(蒸気が抜け続ける)の見分けがしやすくなります。
分解・清掃の前に
- 蒸気圧力がないこと、表面の温度が十分に下がっていること(80℃以下)を確認してから分解する(ベン ATB-5。分解中はハンドル(コック)を回さない)
- 分解に必要なスペースは十分にとっておく(同)
- トラップの本体は保温しない(同)
スクリーン・部品の交換
TLV A3N・AF3N はスクリーン(φ1穴・18メッシュ相当)を内蔵し、弁・弁座などの磨耗部品はユニットで交換できます。ガスケットの点検キットと、弁座・ディスク弁・スクリーンなどを含む補修キットがあり、オプションでスクリーンホルダーにブローダウンバルブ(BD2)を取り付けられます。TLV BT3N は手動バイパス弁の操作で、ストレーナー部のスケールを二次側へブローできます。部品の手配はお問い合わせください。
ストレーナの選び方
トラップにストレーナが内蔵されていない場合は、入口側に Y形ストレーナを付けます。当店では蒸気に使えるねじ込み形の Y形ストレーナとして、次の2型式を扱っています。
| 型式 | 網目 | 使用範囲 | 呼び径 |
|---|---|---|---|
| ヨシタケ SY-5 | 80メッシュ(標準) | 2.0MPa・220℃(蒸気・空気・油など) | 15A・20A・25A・32A・40A・50A |
| ベン KY4-G2 | 60メッシュ | 1.0MPa以下・184℃以下(蒸気・気体・液体) | 15A・20A・25A・32A・40A・50A |
ベン ATB-5 のカタログが推奨する80メッシュに合うのは、ヨシタケ SY-5(標準80メッシュ)です。ストレーナの種類と面間はストレーナーの商品一覧でも確認できます。
型式別:詰まり対策に関係する仕様
当店で扱っているスチームトラップの、ストレーナ(スクリーン)の有無と詰まり対策のポイントです。型式名をクリックすると、その型式の仕様・面間を詳しく説明した記事に移動します。
| 型式 | 方式・接続 | 使用圧力 | ストレーナ | 詰まり対策のポイント | サイズ |
|---|---|---|---|---|---|
| TLV A3N | ディスク式・ねじ込み形 | 0.03〜1.6MPa | スクリーン内蔵 | 出口側背圧は入口側の50%以内。安全率2倍以上。点検・補修キット、ブローダウンバルブ(オプション) | 15A・20A・25A・32A・40A・50A |
| TLV AF3N | ディスク式・フランジ形 | 0.03〜1.6MPa | スクリーン内蔵 | A3N と同じ | 15A・20A・25A・32A・40A・50A |
| TLV J3X-10 | フリーフロート式・ねじ込み形 | 〜1.0MPa(オリフィスNo.10) | スクリーン内蔵 | 最高作動圧力差(1.0MPa)を超えると排出不能。安全率1.5倍以上 | 15A・20A・25A |
| TLV BT3N-10 | フリーフロート式+手動バイパス弁 | 〜1.0MPa | ストレーナー部あり | バイパス弁でストレーナー部のスケールを二次側へブローできる | 15A・20A・25A |
| ベン ATB5-G | サーモエレメント式・トラップ/ストップ/バイパス | 1.0MPa以下 | 入口側に必要(80メッシュ推奨) | 最初の通気時はバイパスでブロー。背圧は一次側の50%以下 | 15A・20A・25A |
| ベン AK1H-GL | バケット式・ねじ込み形 | 0.035〜0.7MPa | — | 水平配管に正立取付。計画排出量の3倍以上で選定 | 15A・20A・25A |
| ヨシタケ TB-880-10 | バケット式・ねじ込み形 | 1.05MPa以下 | ストレーナ内蔵 | 最高作動圧力差はオリフィスサイズにより異なる | 15A・20A |
| ヨシタケ TB-881-16 | バケット式・ねじ込み形 | 1.6MPa以下 | なし(別途必要) | 入口側にストレーナを付ける | 25A |
| ヨシタケ TD-10NA | ディスク式・ねじ込み形 | 0.035〜2.0MPa | ストレーナ内蔵 | 背圧は入口側の50%以下 | 15A・20A・25A |
| ヨシタケ TSD-42 | ディスク式・ステンレス・ねじ込み形 | 0.035〜4.2MPa | ストレーナ内蔵 | 背圧は一次側の50%まで | 15A・20A・25A |
| ミヤワキ S31N | ディスク式・ねじ込み形 | 0.03〜1.6MPa | — | — | 15A・20A・25A |
| ミヤワキ S31NF | ディスク式・フランジ形 | 0.03〜1.6MPa | — | — | 15A・20A・25A |
「—」はカタログ・メーカー資料の該当頁に記載がないものです。呼び径をクリックすると各サイズの商品ページへ移動します。
交換するときは面間を合わせる
分解清掃しても直らない場合や、本体が傷んでいる場合は交換を検討します。交換品は、配管を直さずに付けられるよう面間(L)が同じ型式を選ぶのが基本です。メーカー別の面間はスチームトラップの面間一覧(TLV・ミヤワキ・ヨシタケ・ベンを比較)、交換の手順はスチームトラップの交換方法と取り付け手順で説明しています。
よくある質問
Q. スチームトラップが詰まるとどうなりますか?
A. ドレンが排出されず、装置や配管にたまります。加熱が遅れる、温度が上がらないなどの原因になります。
Q. 詰まりの原因はゴミだけですか?
A. いいえ。TLV のカタログには、最高作動圧力差を超えて使うと排出不能(フンヅマリ)になると書かれています。背圧が高すぎる、容量が足りない、取付位置が高い・姿勢が違う、凍結なども原因になります。
Q. ストレーナは必要ですか?
A. ベンのカタログでは、トラップの入口側に必ずストレーナを設けるよう書かれています(80メッシュ推奨)。ヨシタケ TB-880・TD-10NA・TSD-42 などストレーナを内蔵した型式もあります。
Q. 分解清掃はいつ行えばよいですか?
A. 蒸気圧力がなく、表面の温度が十分に下がっている(80℃以下)ことを確認してから行います。手順はメーカーの取扱説明書に従ってください。
Q. 同じ型番のトラップを探しています
A. 本体の表示で型式と呼び径を確認してください。分からない場合は、写真や面間(端から端までの長さ)をお知らせいただければお調べします。
この記事で紹介した商品
- TLV A3N(ディスク式・ねじ込み形):A3N-15A・A3N-20A・A3N-25A・A3N-32A・A3N-40A・A3N-50A
- TLV AF3N(ディスク式・フランジ形):AF3N-15A・AF3N-20A・AF3N-25A・AF3N-32A・AF3N-40A・AF3N-50A
- TLV J3X-10(フリーフロート式):J3X-10-15A・J3X-10-20A・J3X-10-25A
- TLV BT3N-10(バイパスブロートラップ):BT3N-10-15A・BT3N-10-20A・BT3N-10-25A
- ベン ATB5-G(バイパス付スチームトラップ):ATB5-G-15A・ATB5-G-20A・ATB5-G-25A
- ベン AK1H-GL(バケット式):AK1H-GL-15A・AK1H-GL-20A・AK1H-GL-25A
- ヨシタケ TB-880-10(バケット式・ストレーナ内蔵):TB-880-10-15A・TB-880-10-20A
- ヨシタケ TB-881-16(バケット式・高圧用):TB-881-16-25A
- ヨシタケ TD-10NA(ディスク式・ストレーナ内蔵):TD-10NA-15A・TD-10NA-20A・TD-10NA-25A
- ヨシタケ TSD-42(ディスク式・ステンレス・ストレーナ内蔵):TSD-42-15A・TSD-42-20A・TSD-42-25A
- ミヤワキ S31N(ディスク式・ねじ込み形):S31N-15A・S31N-20A・S31N-25A
- ミヤワキ S31NF(ディスク式・フランジ形):S31NF-15A・S31NF-20A・S31NF-25A
- ヨシタケ SY-5(Y形ストレーナ・80メッシュ):SY-5-15A・SY-5-20A・SY-5-25A・SY-5-32A・SY-5-40A・SY-5-50A
- ベン KY4-G2(Y形ストレーナ・60メッシュ):KY4-G2-15A・KY4-G2-20A・KY4-G2-25A・KY4-G2-32A・KY4-G2-40A・KY4-G2-50A
スチームトラップの商品一覧もご覧ください。
型番・在庫・納期のご相談
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呼び径・接続方式・流体・圧力・温度をご確認ください。交換品や仕様に迷ったら、お問い合わせください。














